川中島小学校における防災教育の充実に向けた取組について
長野市立川中島小学校
―川中島の防災について知ろう、伝えよう―
1 はじめに
長野市立川中島小学校は、武田信玄と上杉謙信の有名な「川中島の合戦」の舞台となった「川中島」に位置している。
この地域は、鎌倉時代から犀川の氾濫と闘いながら、肥沃な土壌と豊富な水を利用して農業が営まれてきた。江戸時代初期には治水工事や用水路の整備、開拓が進められ、「川中島の穀倉地帯」と呼ばれるほどになった。
本校は、1869年に創立された郷学「日新館」を前身とし、長野県で最も古く、全国でも2番目に長い歴史を持つ学校である。古くからの農業が盛んな地で、学校の周辺にも江戸時代初期に松代藩城代の花井吉成父子が開削したものと伝承されている堰を間近に見ることができる。また、現在も、米や麦、地域の特産品でもある桃作りが盛んであり、子どもたちも桃作りや米作りを体験しながら水の大切さについて学んでいる。
2 教科、総合的な学習の時間を活用した防災学習の流れ
(1)校内の防災対策や危険個所について調べよう。
(2)地域の防災対策や危険箇所について調べよう。
(3)地域の防災訓練に参加し、対策について調べよう。(希望児童)
(3)地域の災害の歴史について調べよう。
(4)家庭の防災についてアンケートを取りまとめよう。
(5)学んだことを発表したり、カルタにして、伝えよう。
3 学校防災アドバイザーの関わり
本校では、教科や総合的な学習の時間等で地域の特徴や地域の特産品について知る中で、地域の豊かさが、豊かな水資源と関わっていることを学んできた。
また、災害や防災について学習を進める中で、日本各地で頻発する地震や水害等災害を目の当たりにし、その怖さを感じる一方、災害を自分ごとと捉えられないでいた。
6年1組では、これらの学びの過程の中で、令和6年1月の能登半島地震、そして、9月の能登半島豪雨で被災した輪島市の児童から当時の体験を聞く機会を得ることができた。避難所での体験を通して感じた悲しみや不安、必要だった物品、体験から得た平時の備えの大切さなどを教えてもらい、改めて自分の地域の特徴や防災対策について目を向ける必要性を感じ、学校防災アドバイザー事業を活用させていただくこととした。
(1)フィールドオンの導入
9月29日(月)、防災アドバイザーの指導のもと、児童タブレット端末でのフィールドオンアプリの使い方及び、フィールドワークでもアプリを活用できるよう下準備を行なった。
自分が生活し、登下校する身近な地域の危険箇所や安全な場所を調べていくことへの期待感を持つことができた。

(2)フィールドワークの計画を立てよう
アプリ導入後、登下校や生活圏が近い地区ごとにグループを作り、フィールドワークの計画を立てた。事前に防災アドバイザーに相談したところ、「フィールドワークの手本」を記したスライドを提供していただいた。身近な地域の地震災害や水害の危険性について再度学習し、スライドを参考に、調査すべきポイントを考えていった。その中で、「地震の際、崩れやすい場所や倒れやすい場所がないか調べるとよいのではないか。」、「水害の際、水が溢れやすい場所や水に浸かりやすい場所を見つけていけば良いのではないか。」と見通しを持つことができた。その後、グループに分かれて、通学路や自分たちの家の周りの危険箇所を想像しながら、調査する場所やルートを自分たちで決めていった。
(3)フィールドワークへのサポート
10月20日(月)、防災アドバイザーの皆さんにサポートいただき、「川中島の防災マスターになろう」と題し、フィールドワークを行った。 地震や水害の時に危険な場所や安全な場所、役に立ちそうなものなど調査の視点を確認し、グループに分かれ調査にでかけた。グループごとに、発見したことをフィールドオンアプリに、写真で記録し、気づいたことをタブレットのメモに書き込んでいった。


古くからの住宅地を調査したグループは、2メートルほどの通学路の両側がブロック塀に挟まれていることや、土壁の家屋の壁が剥がれていることに気づき、地震がもし登下校時に発生したら、ブロック塀が倒れてくるのではないか、また、6年生として下級生と安全に避難できるか不安を感じていた。別のグループでは、アドバイザーから普段何気なく登下校している道にも傾斜があり、水のたまりやすい場所があることを教えていただき、水害時の危険箇所に気づくことができた。また、教室で学んだアンダーパスのように、大雨の際、車での移動で危険な場所も実際目で見て、確かめることができた。安全な場所についても、近くの公園や公民館だけでなく、広場や駐車場など、地震発生時に利用できそうな場所を子どもたち自ら考えていた。
フィールドワーク後、それぞれのグループ発見したことを共有した。川中島地区共通の課題をどう伝えていったら良いか新たな願いを持つこともできた。防災アドバイザーからは、自分の地域の危険箇所や安全を守るための工夫を知り、自分の身は自分で守ることが大切であることをお話しいただき、気持ちを新たにするとともに、自分たちができることは何か、再考することにつながった。


2月には、善光寺大地震の際の水害について学び、災害に関わる地域の遺構について調べ、その中のいくつかをフィールドワークで探索した。実際の地を訪れることで、身近な地域での災害や防災への想いや工夫にふれることができた。
4 防災学習の成果及び今後の課題
防災学習発表会で、他地域の児童と交流することで、災害との向き合い方や防災の考え方について新たな発見があり、自分たちが学んできたことを広げ、深めることができた。
今後、川中島地区でも想定される災害予測や災害から命を守るための防災、減災について、学びまとめてきたことを、いかに、仲間や下級生、保護者、地域の皆さんに伝え、防災意識を学校、地域全体で高めていけるようにしていけるかが課題である。
5 まとめ
大きな災害を実感したことのない子どもたちにとって、災害の実情を捉え、防災、減災への意識を高めることは、簡単なことではない。しかし、実際に災害を体験した同年代の子どもたちと交流したり、自分たちなりに体験したりすることで、身近な地域の危険を知りどう対処すべきかについて児童自らが考えることにつながった。
信州大学 廣内大助先生、研究室のみなさんには、実践事例の紹介、フィールドオンの効果的な利用、フィールドワークへのサポート等多面からご協力いただいた。今後も関係機関との連携を図りながら防災管理、防災教育の充実に向け取り組んでていきたい。

