自分たちが住む地域について調べて、防災の意識を高めよう。
1 はじめに
昨年度、本学級は「燻製」について学習を深めた。食材をいぶすことで変化する香りや味わいを体験したり、燻製の歴史について調べたりした。学習を進める中で、保存食という視点で児童の関心が高まり、そこから発展的に防災に興味を持つ児童がでてきた。そこで1年間かけて学習することにした。
諏訪は、1944年の東南海地震で大きな被害が出た。小学校の近くにはその地震についての記念碑もあり、とても大きな地震であったことがわかる。また城南小学校では、昭和47年に5教室を焼く火災が発生したこともあり、発生した8月24日は城南防災の日として設定されている。毎年その日には当時の様子を児童に伝えており、防災の重要性について考えている。
これらの背景のある児童が、実際に災害が起きたときにどのように行動すればよいか、どんなことで困る可能性があるかなど、体験を通して学習を深めた。
2 1年間の活動
・防災倉庫見学
・地震体験車での地震体験
・1944年東南海地震についての学習
・「Field ON!」のアプリを活用した防災マップ作成
・避難場所での宿泊体験
3 活動の様子
・防災倉庫見学
諏訪市の危機管理室の職員にご支援いただき防災倉庫の中を見学した。非常用の電源やトイレなど、普段はなかなか目にすることのできない物を見ることができ、使い方についてもご教授いただいた。見学を通して児童から、「食料が多いように思ったけど多くの人が避難してくることを考えると少ないかも。」や「大人や小学生だけじゃなくて、赤ちゃんも避難してくるから、そのことも考える必要がある。」といった声があがった。
・地震体験車での地震体験
諏訪市の危機管理室の紹介で、地震体験車に乗車することができた。諏訪で発生した東南海地震を再現する揺れを体験することができ、諏訪市で起こった大きな揺れに驚く児童の様子があった。いつ地震が起きるか分からないこと、地震がいつ収まるか分からないこと、揺れによってなかなか動くことが難しく、家具等の転倒の危険があることに気づく姿があった。
・東南海地震についての学習
諏訪市でおよそ80年前に発生した東南海地震について、伊那市立東春近小学校の奥山加蘭先生に地震の概要や地震体験者へのインタビューなどから分かったことをご教授いただいた。児童は丘陵地域と湖周辺の地盤の強度の差を学習し、地震に対しての備えの重要性に気づいた。
・「Field ON!」のアプリを活用した防災マップ作成
信州大学の廣内先生、倉澤先生にご協力いただき、マップアプリ「Field ON!」を使用してフィールドワークを行った。児童の通学路を中心に、「地震で危険な場所」、「水害で危険な場所」、「安全な場所」をマッピングする活動を行った。「通学路に面している塀は倒れてくる危険性がありそうだ。」、「諏訪湖や周辺の川が増水すると通れなくなる道もありそうだ。」、「避難場所に指定されている場所は、周りに危険な物がなさそうだ。」など、フィールドワークを通して地域について学びを深めることができた。
・避難場所での宿泊体験
フィールドワークを通して、城南小学校の体育館が避難所に指定されていることに気づき、実際に避難所体験として体育館に宿泊することにした。諏訪市から非常用の折りたたみベッドをお借りし、体育館で10月4日~5日に宿泊を行った。「(雨が降ったので)当日の夜はとても寒かった。地震などはいつ起きるか分からないので、もっと寒い時期に避難する場合があるかも知れない。」や「避難所で生活する際には、音などのマナーに気をつけることが絶対に大切だと思った。」といった声があり、避難所生活の大変さや難しさに気づいた。
4 終わりに
1年間の学習を通して児童は災害への意識を高める様子があった。学習のはじめには、防災は大事だけど、地震が起きても自分は大丈夫、避難所で生活することは無いと思うといった様子の児童であったが、様々な体験や学習を通して、いつ災害が起きるか分からないこと、いつ災害が起きてもよいように備えておくことの重要性に気づき、それを保護者に向けて発表することもできた。「自分の身は自分で守る。」という言葉の大切さに気づく1年間であった。

