長野市立朝陽小学校

長野市立朝陽小学校

地域とともにつくる防災

長野市立朝陽小学校

1 はじめに

朝陽小学校は、全校児童数549名、長野市東北部の住宅街に位置している。学校は車通りの多い県道に接しており、現在、その県道の拡幅工事と大規模な校地拡張工事が同時に行われている状況である。

校区には、想定浸水深3m以上の地域や家屋倒壊等氾濫想定区域に指定されている地域を含む。また、狭い道路や住宅が密集しているため、災害発生時には避難が困難になり、被害が大きくなることが予想される地域である。そのため、地域の実態に合わせた防災教育が求められる。

2 学校の防災体制について

毎年、火災・地震を想定した避難訓練を年2回、保護者引渡し訓練(1年生)、集団下校訓練をそれぞれ年1回実施してきた。しかし、訓練の形骸化が課題であるとの声があり検討を重ねてきた結果、今年度は、保護者引渡し訓練を全校で実施したり、簡略化していた集団下校訓練をコロナ禍以前の形(全校児童が校庭に集合し、登校班ごとに下校する)に戻したり、休み時間の避難訓練を新たに実施したりするなど、改善を加えることができた。

3 学習の概要

(1) 学習のはじまり

昨年度、新規採用だった野池教諭は、初めて担任した4年3組で、防災教育の授業公開を行った。野池教諭から、防災教育に力を入れていきたいという願いを聞き、今年度は、地域と関わりながら防災教育を進めていきたいと考えスタートした。

(2) 事前打合せ

夏休みに、信州大学教育学部の内山琴絵先生と打ち合わせを行った。野池教諭が、今年度担任している5年2組の子どもたちとつくっていきたい防災教育への願いを共有したところ、信州大学で開発した防災教育用アプリ「フィールドオン」を活用し、子どもたちが実際に地域を散策しながら危険箇所を入力して防災マップにまとめる活動を紹介いただいた。地域との関わりを大切にしたいという野池教諭の願いから、「フィールドオン」を用いたフィールドワークでは、地域の方々に協力をいただくこととした。

(3) アプリを使ってみる

信州大学防災教育センターの倉澤さんから、「フィールドオン」の使い方を教えていただく。5年2組の子どもたちは、日頃からタブレットをよく使っているため、このアプリにもすぐに慣れ、スムーズに使うことができるようになった。

(4) フィールドワークの実施      

10月、5年2組は、地域の方々や内山先生を始め信大生、合わせて20名程に協力をいただいて、学区内を8つの地区に分かれて歩き、「フィールドオン」を使って災害時危険になるところを探した。子どもたちは、過去に発生した災害の話などを聞き、災害を身近に感じることができた。

(5) 休み時間避難訓練の実施

コロナ禍のため行っていなかった、休み時間の避難訓練を6月に実施。休み時間に放送が入り、校内のあちこちで遊んでいた子どもたちが、決められている集合場所に集まる訓練を行った。実施後の振り返りの中で、集合場所から校庭に避難するまでの訓練も必要であるという声が上がったため、11月に係の計画で2回目の休み時間避難訓練を実施することとした。2回目は、子どもたちに日時を明かさずに実施した。内山先生に来校いただき、6月の訓練での子どもたちの様子を伝え、実際に子どもたちの集合場所での様子や職員の動き、避難の様子を見ていただいた。実施後、内山先生と「実際に出火したら…」という視点で訓練を振り返り、残留児童の確認をする職員は戻ることができないから一度で正確に確認するにはどうしたらよいか、当日の遅刻者・早退者をどう把握するかなど、たくさんの指導・課題をいただいた。

(6) 防災マップを活用したシミュレーション

野池教諭は、フィールドワークを通して子どもたちが作成した防災マップを使い、災害時の避難をシミュレーションする授業を行った。内山先生に参観いただき、指導をいただいた。子どもたちは、自分の考えた避難行動について、その行動の意味も説明することができていた。

4 学習の成果及び今後の課題

今年度は、本校の防災教育に変化が起こり、今年一年で防災に関する意識が高まったと感じる。今回の実践を通して、地域の方とのつながりも強まった。今回、子どもたちと一緒にフィールドワークに行ってもらえる地域の方を募ったところ、予想以上に多くの方に参加いただけることになり、各グループ2~3人の大人がついて地域を回ることができた。当日は、色々なところで立ち止まり、地域の方から歴史なども説明いただいた。子どもたちも、地域の方に教わりたいと質問を準備して臨むなど、積極的に関わる姿が見られた。

今後は、今年度の実践を発展させながら続けていくこと、他学年・他学級へ広めていくことが課題である。今年、4年2組では、防災教育で本校にある備蓄倉庫について考え、「本校は避難所になるのに防災スリッパがない」と気づいたことをきっかけに、新聞紙で防災スリッパを作成した。今後も、子どもたちの気づきを大切に、防災教育を積極的に 行っていきたい。 

また、避難訓練でご指導いただいたことを、今後の実践に生かしていくことも本校の 大きな課題である。学校全体でしっかりと共有していきたい。

5 まとめ

普段なかなか意欲的に学習に取り組むことが難しい児童が、今回の防災学習に積極的に取り組む姿が見られた。自分たちが作った防災マップを使いながら避難シミュレーションをしたときには、自分が担当した地区(その子の住んでいる地域ではない)の危険箇所について堂々と説明し、より安全に避難できるルートを見つけ出そうと真剣に考えていた。今後もこのような意欲的な姿を大事にしながら、学習を発展させていくことができるとよいと思う。そのきっかけをいただいた内山先生に心から感謝したい。

休み時間の避難訓練など、これまで行わなければならないと感じていながら、なかなか踏み出すことができなかったことに、今年度は挑戦することができた。実施に向けては、職員がよりよいものにしようと真剣に話し合うことができた。

たくさんの人、もの、機会と出合わせていただいたことに感謝したい。

(文責 教頭 沖 美鈴)